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今年も三が日が過ぎました。
皆様は何を思い感じながら過ごされたでしょうか。

今年の三が日用には、マンガを描こうと思っていました。ところがPCが故障して、とうとう修理が間に合わず(正確には一度戻って来たのですが、不具合が数か所あったために再度、修理に出しております)。

そこで、マンガで描こうと考えていたテーマを文章で綴ったものをこちらに載せます。
いくつかお断りさせていただくと、表現方法が違うので、当初自分が考えていたものと、かなり変わってしまいましたし、まだ完結できていません。
加えて、大きな自然災害があった時に、安穏と、こんなことをしている場合ではないのではという思いもあります(このことに関しては、「Thanks!」の方にも書いております)。

でも、拍手やメッセージを残して楽しみに待ってくれている方も、少数かもしれないですが、いらっしゃるし、私自身、リアルが大変な時に大好きな「ベルばら」の世界にしばし浸ると、また頑張る力か湧いて来たので、そうした考え方に参同できる方のみ、どうぞお読み下さいませ。

スマホからネットに接続しているため、各種お返事、滞っていて申し訳ありません。また、このSSのつづきも、またまた亀更新になることをお許し下さい。


それでは、読まれる方は、↓のリンクをクリックして下さいm(._.)m





アンドレが窓外に目をやると、いつの間にかとっぷりと日が暮れていた。庭園の警備に当たっている衛兵の持つカンテラの灯が、遠くでちらちらと、隠れたりまた現れたりを繰り返している。




そばにいたオスカルが一つ身震いする。赤い軍服の金モールが揺れた。


「今年は冬の訪れが早いかもしれんな」


新国王の即位から4か月がたとうとしていた。19歳の王妃が最初に、フランス君主となった夫に願い出たのは、彼女がフランスに嫁いで来た時から、ずっと側近くに仕えて来た同い年の男装の近衛隊士の昇進だったという。


オスカルは大佐となり、近衛連隊長に就任して、白い軍服から赤い軍服へと着替えた。




「行くのか?」


そう、アンドレが声をかけると、オスカルは黙って頷き、外した手袋を彼に渡した。


「両陛下主催の晩餐会だ。近衛連隊長としては欠席するわけにもゆくまい」


軽く首を振ると、黄金の髪がかすかに揺れて、シャンデリアの眩い輝きが毛先で踊った。


前国王の喪中の一年は、不要不急の派手な行事は控えられて来たが、新国王の戴冠式を無事に終えると、祝いのムードと喪中の反動も手伝って、宮殿でも主だった貴族の館でも、連日連夜、きらびやかに装った貴族たちが集い、演奏会だ、夜会だと浮かれ騒いだ。


その中心でひときわ華やかに着飾り、騒々しく感じるほどの遊びに興じているのが、他ならぬ王妃その人だった。




オスカルの声は、いつもより不機嫌に聞こえた。緋色の近衛服は、普段なら彼女の白い顔を映えさせるのだが、今はかえって青白さを目立たせてしまっている。


他の人間ならば気づかないような微妙な差だが、アンドレは我ことのように、いやそれ以上に彼女の変化を感じ取る。そんな風になったのは、いつの頃からだろう。


アンドレはもう一声かけようとしたが、オスカルは既に彼に背を向けて歩き出してしまっていて、言葉を呑み込む。


こんな風に言葉少なに素っ気なく次の行動に移るのも、彼女が無理をしている時にしがちなことだったが、ここから先は付いて行くわけにはいかなかった。自分には入り込むことができない領域だ。彼女の従僕として、ある程度までは、宮殿内の自由な出入りを許されていたアンドレだったが、さすがに国王や大貴族達と食卓を共にするわけにはいかない。カのある貴族にしか許されない特権。アンドレに出来ることといえば、晩餐の席に招待されなかった貴族達に交じり、彼女の様子を見守ることくらいだった。


「アンドレ・グランディエ亅


聞き覚えのある声に、背後から名前を呼ばれて振り返る。近衛隊の制服を着たその男に、ゆっくりと頭を下げた。


「連隊長は、もう晩餐会の席に?」


頭をわずかに垂れたまま、アンドレは答えた。


「はい、ジェロ一デルさま」


ジェロ一デルは、ハシバミ色の目をかすかに伏せると、ため息をついてみせた。


「昨夜も王妃さまのお供をしてオペラ座に行かれたと仰っていた。昼間、軽く咳をしておられて、お疲れのご様子だったから、今夜はお帰りになられてはとお勧めしたのたが、聞き入れてはいただけなかったようだ」


独り言のように、そこまで言うと、ジェローデルは目を細め、極上の微笑を浮かベてアンドレを見やると、言った。


「だが、そんなところがあの方らしいと思わないか、アンドレ・グランディエ」


アンドレは言葉では答えずに、ただ頷いた。


オスカルが連隊長になるのと同時に、王妃は任務の負担軽減のため、副官の増員も図っていた。その際に拝命を受けた一人が、この男だった。年若くて佐官ではないが裕福な名門貴族の次男坊で、切れ者だという話だ。オスカルも信頼を置いており、彼女の昇進が異例の大抜擢の上に女性であることから反感を抱いている者が少なからずいる中で、アンドレの目から見ても、よく彼女を補佐してくれていると思えた。


だが何故か、妙にアンドレに絡むような口調で、わざわざ向こうから声をかけて来ることが度々あった。他人の従僕など、彼ら大貴族にとっては無視するべき存在か、アクセサリーの一つくらいにしか感じないのが普通のはずなのに。


「席は近くに用意されているだろうから、連隊長のことは気をつけているよ」


安心したまえと、手袋をしたままの手を軽く上げ、男はオスカルが先ほど通った扉の方に優雅な歩調で向かった。控えていた小姓が敬々しく扉を開ける。


「隣にいられなくとも、見守っています、オスカルを、ずっと」


アンドレの声が届いたのかどうか。ジェローデルの肩章がわずかに揺れたように見えたが、アンドレの方に振り返ることはなく、扉は閉ざされた。




晩餐の席が見える位置には、国王の食卓を目にする栄誉に預かろうと、既に多くの人々が集まっていた。コンデ公が若き国王と王妃の健康と幸福を祈って、ボヘミア風のグラスを掲げ、宴は始まった。列席した貴族達も同じ文言を口にして杯を掲げた。オスカルは紅の液体を一気に煽っている。隣には先ほどの男がいた。




王の晩餐ともなれば、テーブルには贅を尽くした料理が並ぶ。


数種のオードブルにスープ、鳥や魚を丸ごと焼いて色とりどりの野菜を盛り付け、ソースで飾りつけたものに、大きな砂糖菓子や飴細工など、周囲で見物している者は香りや匂いだけでなく、その目も楽しませてくれる数々の餐膳に生唾を飲み込みながら、次の一品には一体どんな趣向が凝らされているのだろうかと期待を寄せる。度数の高いアルコールを利用した火の演出には、思わず感嘆の声が漏れた。


「すごいですね」


しばらく前から、アンドレのすぐ横に立っていた男が話しかけて来た。身なりからして貴族ではなかったが、かと言って、アンドレのように貴族の使用人という風でもなかった。40歳前後だろうか。話し方は落ち着いていて、同時に小才が利きそうな感じも伺えた。


「王の晩餐を見るのは初めてですか?」


アンドレが尋ねると、かなり前に一度見たことはあったが、その時は、今夜ほど派手な演出はなかったとドイツ訛りのフランス語で答えたその男は、オーベルカンプと名乗り、ベルサイユ近郊のジュイ=アン=ジョザス村からやって来たと自己紹介した。





晩餐が終わるまで、何度か言葉を交わしたその男の名が、数日後に祖母のロから出て来るとは、その時のアンドレには知る由もなかったし、また、その申し出の内容はこれまで考えてもみなかったことで、予想だにできなかった。




(つづく)









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